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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第三十話「襲撃者」

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地下世界での旅を終えて、地上の次元に戻ってきたローナ一行。
復活させたゲートから繋がったのはエリシオンの森の中、かつてローナ達が滅ぼしたゴブリンの根城近くに開かれた。
イルミナに近いため、準備してから行くかを話していたところにクララの通信端末が鳴り響く。

「クララ、聞こえるか?ギルバートだ。」
「こちらクララ、ただいまエリシオンに戻りました。ここからイズモへ…」
「緊急事態だ、すぐにアルトランドへ向かってほしい!!」

あの隊長が珍しく焦っている…!?これはただ事ではないと判断、一行も急いでアルトランドへ向かうのだった。

「二人とも、私にタイミングを合わせて!合体術で飛んでいくわよ!!」
「ええ!」「はい!」
ローナの神通力とナタリーの神聖術を組み合わせ、クララのブーツエンチャントで一気に空からアルトランドへと向かうこととなった。

 

しばらくしてアルトランド港町へ到着、何やらイルミナの騎士団が立ち並び重々しい雰囲気となっていた。

「隊長、ただいま到着しました!」
「クララ、それに二人も一緒か。急に呼び出してすまなかったね。」

ギルバートが3人に状況を説明する。
どうやら海の方から得体のしれないバケモノが現れたらしく、周囲を破壊して怪我人も出ている。
騎士団が辿り着いた今はどこかに隠れたようだが、安全を確保するまでは油断はできないとのこと。

「というわけで、君達にも捜索に当たってほしい。敵の正体がわからない以上、3人ともまとまって捜索に当たってくれ!」

「「「はい!!!」」」

指示通り、港の海沿いの道へ向かう。当たりの建物には爪で引掻かれたような鋭い痕が残っている。
その時だった、ローナの背後に黒い影が迫る!!

「ローナ、後ろ!!」
「!!!!!!!!!」

「クッ…外シタカ…」
間一髪、ローナは襲撃者の攻撃を回避。
襲撃者の正体は黒い半魚人のような怪物だった、襲撃者は再び「影」に溶けて姿を消した。

「なんなのよ今の…!私は隊長に連絡をするから、ローナとナタリーはヤツを逃さないように結界を…」
「いえ、その必要はないわ…今の敵…『私』と認識して狙ってきた…!!」

「クックック…バレテイテハ仕方ガナイ…!」
「卑怯者!名を名乗りなさい!!」

再び現れた襲撃者に対して、クララが剣を向ける。

「我ガ名ハタクロス…オロチノ使徒ナリ…王女ローナ…貴様ノ命、ココデモライ受ケル…!!」

そう言い捨てると襲撃者、もといタクロスは再び影に溶け込む。

「二人とも!奴は後ろから奇襲をかけてくるはずよ!私に背中を預けて!!」
クララがそう叫ぶと、ローナとナタリーは指示通りに互いに背中を向け合って構える。だが…
「ッ!!真下から!?」

驚いた3人は咄嗟にジャンプで前に出る。

「ソノヨウナ浅知恵デ我カラ逃ゲラレルト思ウナヨ」

体制を崩したローナの背後から襲い掛かる!!

「ッ!っ痛ッ…!!」
「チッ…運ノイイ小娘ダ…次ハ外サン…」
咄嗟に身体を動かした勢いでマントが靡き、なんとか軽傷で済んだものの違和感が出る程にはダメージが残るローナ。
「無理しないでください!今治療をしますから…!!」
ナタリーが鞄から塗り薬を取り出し傷口に塗り込む。タクロスの速さの前では神聖術では役に立たないと判断したのだ。

「ねえクララ、ナタリー…前に戦った忍者のこと覚えてる?今の敵からあの時と同じような気配がして…でも今度の敵は実体がないと思うの」
「実体がない…ということは邪悪な力の集合体ってこと?」
「ひええ…そんなのとどう戦えば…!!」

ローナは二人に作戦を伝える。
奴の狙いは間違いなく私だ、そう悟ったローナは二人の力を借りて賭けに出た。

「さあ、かかってきなさい!私はここよ!!」
「クックック…愚カナ娘ヨ…ヒト思イニ殺シテヤロウ…!!」

タクロスが再び姿を現し、ローナの背後から飛び掛かる!

「やはり…そうくるのね…!!二人ともお願い!!」
「今です!ホーリーウォール!!」
「何…ダト…!?」
タクロスの攻撃が光の壁に阻まれる!

「よそ見をするなッ!!」

更に背後からクララがタクロスに飛び掛かり、盾で殴りつけた!

「人間…愚カナリ…我ニソノヨウナ攻撃ハ効カヌ…」
「どうやらそうみたいね、でも貴方のその『爪』は物理的な攻撃のようね…!!」
「ナニッ!?!?!?」

「二人ともありがとう…後は私に任せて!!」
ローナが左手に神通力を集中させて、巨大な気の塊を作り出し…掌打!!

叔父直伝!烈衝掌!!!
敬愛する師匠であり叔父、スサノヲから受け継いだ技の一つ。
負のエネルギーで構成されたタクロスの身体に七支刀の物理的な破壊は通用しないが、神通力を固めた正のエネルギーは一般的な生物以上に効果があった。

「グギギ…許サン…コノママ生キテイズモニイケルトオモウナヨ…!!!」

身体の半分を失っていたものの、超大な負のエネルギーをかき集めてタクロスの身体が巨大化していく。
ローナと同じ程度の体格であったが、2倍近く大きくなった。

「そんな…!今ので倒せないなんて…!!」
技の反動で消耗したローナがうろたえる。クララも下手に動けず、ナタリーも遠くで隠れるほかなかった。

絶体絶命のそのとき、海の方から大きな物体が飛び出てきてタクロスに襲い掛かった!!

「うおりゃあああああああああああローナに手を出すなああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

飛び出てきたのは巨大なクジラ…の姿をした。先ほどの通り物理的な攻撃は効かないはずだが、このクジラは体中に神通力を纏っていた。
そう、その正体は…

「ウミヒコ!!!!!!」
「グギギ…ナンダ貴様ハ…?邪魔ヲスルナ…!!」
「うるせぇ!お前の相手はこのオラだ!かかってこぉぉぉぉぉぉぉい!!!!」

かつてここ、アルトランドで再会して、自信なさげだったがアンタークへの連絡役という名の修行の旅を終え、ローナの前に戻ってきたクジラの姿をした神。
彼の名はウミヒコ。ローナと同じイズモの生まれであり、ワダツミ一族の末裔だ。

突然不意打ちを受けて逆上したタクロスは真正面からウミヒコに襲い掛かった!!

「貴様カラ血祭にアゲテヤル!死ネェェェェェェェェェイ!!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおお馬鹿にするなあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ウミヒコの拳がタクロスの身体を貫いた!!
「ローナ、もう一度烈衝掌だ!!今度はオラの神通力も使ってくれ!!」
「わかった、やってみる!!」

ウミヒコがローナの左腕を優しく握り、神通力を流し込む。
「私の力も使って!」「みんなでやりましょう!!」
クララとナタリーも近寄り、ローナに力を貸す。

「みんな…ありがとう!!これが私の…私達の力!!秘儀!烈衝掌!!!

4人の力を合わせた光が、闇の力より生まれし敵を消滅させた。

「オノレ…オノレ…オノレェェェェェェェェェェェェイ!!!!!!!!!」

襲撃者、そして友との再会。ローナの旅は、間もなく終点といったところだ。

 

-つづく-