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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第十話「アズマ」

 

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 前回のあらすじ

 

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 ローナたちの活躍により、エリシオン諸国とアンタークの同盟が締結された。
そして帰りの船で宝珠の力が次なる次元のヴィジョンを3人に見せた。
次元の名は「アズマ」。エリシオンと違い、比較的現代日本社会のような世界観が強い次元だ。幸いエリシオンからはイルミナからの次元鉄道一本で行ける隣町のような場所だった。
が、どうも例の破片が気掛かりなローナは叔父のスサノオに端末で相談をしていた。

スサノオが言うには破片は「オロチの鱗」なのではないか?という話だった。
オロチとは、かつてイズモに現れ全ての次元を破滅させようとした巨大な邪龍、過去に現れた際はスサノオらイズモの勇者、そして女王アマテラスによって次元のはざまに封じ込めたという。
強大な邪気を持つこの破片が、オロチのものという理屈は通っている。だが封じ込めたはずのオロチの鱗の一部が何故アンタークの近海にあったのか?気にはなるが気にしてもしょうがないので、一行はアルトランドの港からイルミナを目指すことにした。
そのとき、ローナは埠頭の端っこで見覚えのある巨大な黒い影を見かけた。

「あの大きい後ろ姿…もしかして!!」
ローナが嬉しそうに声をかけた。
「ん…その声は…もしかして…ローナ?ローナなのか!?」
巨大な黒い物体が振り向いた。そう、黒い物体の正体はローナの幼馴染、ウミヒコだ。
小さなクジラのような姿のイズモ神「ワダツミ族」の息子で、ローナの幼馴染。かつての戦乱で散り散りになっており消息不明だったが、どうやらアルトランドの漁港で漁の手伝いをして暮らしていたようだ。

「オラ、ローナが生きててくれことが何よりも嬉しいよ…ところでどうしてここに?」
「うん、それがね…」

ローナはウミヒコに今までの経緯を伝えた。

「そうか…そんなことが…オラも何か役に立ちてえけど…オラ戦いなんて無理だよぉ…」

ワダツミ族は強大な力を持つ神だが、ウミヒコは小さい頃から弱虫で引っ込み思案な性格をしていた。
だが水を操る力があり泳ぎは得意、そんな彼にローナは提案をする。

「ねえウミヒコ、アンタークとの同盟が結ばれたことは知ってる?あなたには是非アンタークとアルトランドを繋ぐ連絡役になってほしいの。」
「連絡役?オラがか?」
「ええ、そして…会ってほしい人がいるの!女王様には私からお願いするから」

ローナの提案、それはウミヒコにキーラの存在を知ってもらうことだった。男として強くなることを夢見るウミヒコはその話を聞いて大喜び。女王レジーナも快諾して、ウミヒコは次元を繋ぐメッセンジャーとなった。

 

次の日、ローナ達はアズマ行きの次元鉄道に乗るべく駅に来ていた。
だが、3人の少し後ろに怪しい男がいた。

「あの女の子、確かきれいな宝珠みたいなの持ってたな…なんだかはわからんが金にはなりそうだな!よしじゃあこの大盗賊オブラディ様が手に入れてやるぜ!!」

3人、そしてオブラディと名乗る盗賊は電車に乗り込んだ。3人はまだこの盗賊の男の存在には気づいていないようだ。

そして20分後、アズマの大都会であるブクロの駅へ到着。
クララの記憶によれば、ビジョンで見た山にはこの駅から行くのが一番近いらしい。だがその前にせっかくだから街でちょっと遊んでいこう!と3人が意気込んだその時。

ドンッ!!
「おおっとごめんよ!」
例の盗賊がわざとらしくローナぶつかってきた。

「ローナさん!?大丈夫ですか!?!?」
「ちょっと、今の明らかにわざとでしょ!なんなのか知らないけどちゃんと謝りなさいよ!!」
心配そうにローナに駆け寄るナタリーと、盗賊に怒るクララ。だがそんなことも気にせず盗賊は平謝りして逃げていった。

「も~なんなのよあいつ…ローナ、大丈夫?」
「私は大丈夫なんだけど…ない!」
「!?ひょっとして宝珠!?!?」
「ううん、宝珠はあるんだけど…さっきの人に破片を盗まれた!!!

破片の邪気は宝珠で封じている状態、つまり宝珠と離れてしまったら邪気が暴走する危険がある!3人はすぐに盗賊を追いかけ走っていった。

「ふう…うまく巻いてやったぜ、楽勝楽勝!ん?なんだこれ…宝珠じゃねーじゃねーなよ!!」

盗賊が叫ぶと、破片の邪気が暴走を始めて盗賊の身体を乗っ取り暴れ始めた!!

そこのすぐ近く、アズマの女子高生が2人で話しており、一人は黒髪の大人しそうな少女で、もう一人は派手な髪形・制服でまさにギャルといった感じの少女、しっかりミニスカートでルーズソックスも履いている。
「ねえリサちゃん…あれ…」
「んも~危ないよあんなの~。ごめんねユウちゃん、周りの人避難させといて…」

リサと呼ばれたギャルJKは暴れている盗賊に向かっていき、鳩尾に正拳を一発ぶちかました!!

「グヮファアッー!!!!」

盗賊は痛みで悶えている、そこでリサは間髪与えず盗賊の肩に上段回し蹴りが炸裂した!!!!
盗賊は倒れこむが、黒い影が四散し小さい個体をなった。

「なにこれ…ちょっとヤバみ~!?みんな逃げてー!!」
そのとき追いかけてきたローナ達が現場に到着した。

「いた、さっきの盗人!あれ?倒れてる」
「あの盗賊は…もしかしてあの女の子がやっつけたんでしょうか!?」
「それよりも!やっぱり影が!!暴れてる!!!!」

「えっ!?!?何何!?」
「この男、盗賊なんだけど…もしかしてあなたが倒したの?」
「うん、なんかね…黒くなってて暴れまわっててヤバそうだからやっつけちゃったの」
「ありがとう!あとは私たちに任せて!!」
「ええーっ!?ちょっとどういうこと~!?!?!?」

クララがサクッと説明するが、リサはあまり状況を呑み込めていない様子。
ローナが全員の武器にエンチャントをかけて、なんとか影の封印に成功。
盗賊の横に落ちていた破片もきっちり結界を張って一件落着となった。

ただ4人ともすんげーーーーーー疲れ果てていた。

第10話、完

つづく