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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第九話「破片」

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 前回のあらすじ

 

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 キャラクター紹介

 「やったぁ!!」

ローナの喜びの声が、海上にこだまする。
アンタークの戦士キーラを正気に戻し、キーラの力が黒い影を打ち破った。
ローナの無謀とも思える挑戦は成功した。が、クララとナタリーはやはり気が気ではなかったのか、へとへとに疲れ果てていた。

「はあ…もうローナったら…もう無茶はしないでね?」
「一時はどうなることかと思いました…」
「クララもナタリーも無茶させちゃってごめんなさい、でもありがとう!!」

「みみみみみ皆様!見事でございますぞ!このアーデル、おみそれ致しました…!!」
「俺からも例を言わせてもらうぜ!よくわからん黒い影から解き放ってくれてありがとうな!!」

その時、雪原の向こうから何やらノリノリな音楽を流しながら近づいてくる存在がいた。ペンギンがペンギンの座る神輿を担いでいる。彼こそがペンギン帝国の皇帝だそうだ。

「ここここ皇帝陛下!!わざわざお越しいただいてしまい申し訳ありませんッッッッ!!!!」
「戦いの様子は見ておった!彼の者達がキーラの異変を解いたのじゃな!!王としてちんからも礼を言わせてもらうぞッ!!」

皇帝陛下が妙に高い声で感謝を述べる。そして陛下とキーラの計らいで、ローナ達はペンギン帝国の城に招待されることとなった。無論ほかの調査団員にも伝え、エリシオンとアンタークを繋ぐ宴となった。
この一件から、アンタークの調査は打ち切られると同時にアルトランドひいてはイルミナとアンタークの交流活動が始まり、大きな貿易や同盟に発展していくのだった。

そしてその宴の夜、キーラがローナの部屋を尋ねる。

「ローナ、すまん起きてるか?話しておきたいことがあるんだ」
「キーラさん、どうかしたんですか?」
「実はちょっと前に海底で変な破片を拾ってな、それからなんだ。あの気持ち悪い影に乗っ取られたのは」
「破片…ですか?」
「そうそうこれこれ、影の浄化ができる君なら何かわかるんじゃないかと思ってさ」
「これは…!!」

薄い金属質な何かの破片。禍々しい深緑色で、ただならぬ邪気を放っていた。

「この邪気は影のものにも似ている…今は弱まっているけど…放っておいたら危ないわ!」

ローナは七支刀を手に取り、逆の手で宝珠を強く握りしめて念じた。
一般的に取り憑いた「影」の邪気とは違い、この破片そのものが強い邪気を放っている。
今はなんとか封じ込めたが、いつ邪気が暴走するのかもわからない、だからといって破壊をしたらどうなってしまうかわからない。
ローナは今までにない底知れぬ恐怖に怯えていた。

「ハァッ…ハァッ…」
「ローナ!大丈夫か!?!?」

息切れしたローナをキーラが肩を持つ。
とにかく今は封じ込めた、明日はアルトランドへ帰るのだから休まなくては。
ローナは何も考えず寝ることにした。クララとナタリーへは明日このことを伝えよう。

---

翌朝、ローナは帰りの船で二人に昨夜のことを話した。
破片の正体もわからないまま持っていていいのか?だが捨てたり破壊するのも危険すぎる。ナタリーの提案で「3人の理力(※)と宝珠の力を組み合わせ、膜のような結界を作り出す」という方法を試みることにした。
結界を作るためにテーブルに破片と宝珠を置き、3人が手を繋ぎ目をつぶったその時だった。

・・・・ッ!!!

また違う光景が見えた。森に囲まれた鳥居、そこから上空へ上がって緑色の山、遠くに大きな街のような風景。今度はクララもしっかり見ていた。

「今のは…アズマにある山ね。前に騎士団の研修で行ったことあるし、間違いないと思う…。」

宝珠が見せたのか、はたまた破片が見せたのかはわからないが、とにかく前と同じく幻視が見えた。次の目的地が決まった3人は、心を落ち着かせ結界作りを成功させた。

次の目的地はエリシオンの隣の次元「アズマ」だ。

 

第九話 おわり

次回へ続く