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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第八話「氷の大地」

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前回のあらすじ

 

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 キャラクター紹介

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アンタークという次元は非常に特殊な構造をしており、なんと複数の次元からゲート無しに入ることができるとのこと。
つまりエリシオンから海続きでそのまま入ることができる。とにかく非常に謎が多い次元なのだ…というか今まで寒すぎて誰もが調査しようとしなかったというのが正解であるが。

そんな中、アルトランド女王レジーナは「誰も調査しないからこそする」という精神で調査を開始した。そして、ローナ達は宝珠の見せたビジョンがなんなのかを確かめにアンタークへの調査を決意した。

 アルトランドの船出から数時間、そろそろ寒くなってきた。3人はアルトランドで買った防寒着に着替えることにした。ちなみにこの時は3人とも黒タイツ。

「私、思ったんだけど黒タイツに白ブーツって可愛いよね。」
「わかる~!ローナはいつも白いソックス履いてるけど、たまには黒も履いてみたら?似合うと思うよ」
「あ、茶色いブーツも可愛いですよ!!」

等とブーツ談義していたら簡易的な船着き場に到着、どうやら3~4人でグループを組み調査をするようだ。もちろんローナ・クララ・ナタリーの3人でグループを組ませてもらい、宝珠が示した場所を目指す。
ローナが宝珠に神通力を流し込むことにより、宝珠が光りだす。場所によって光が強くなることがあり、これが近づいているという証拠なのだろうか?3人がとにかく歩いていると宝珠の輝くが最も強くなる場所にたどり着いた。

「ここ?…何もないじゃない」

辿り着いたのは海沿いの氷原。大体船着き場から1時間しないくらいは歩いたであろうか?辺りを見渡す限り変わったものはなく、ただ海からの風が冷たい。さむい。

「間違いありません…ここであってます」
「うん、ふたつの宝珠も何かに引き寄せあうように強く光っている…」

ローナとナタリーも、確かにあの時見た光景と同じ場所であると悟った。が、しかし何もない…。一体ここに何があるというのか?
その時、3人は人でない何かの気配を察する。

「誰!?そこに誰かいるの!?」

クララが盾を構えて身構える、そこにいたのは…ペンギンだった。

「えっえっえっ!?!?皆様は…エリシオンの方ですか!?私は怪しい者ではありませんぞ!!」

ペンギンは驚きながらそう答えた、執事のような正装をしたペンギンは息を整えて自己紹介を始めた。

「皆様お初にお目にかかります。私はペンギン帝国皇帝陛下の直属、アーデルと申します。お見知りおきを」

「驚かせてしまってごめんなさい。私はクララ、イルミナの騎士よ」
「私はローナ、イズモから来ました」
「ナタリーです、よろしくお願いします」

「ご丁寧にどうも、実はワタクシもエリシオンの方と話すのは初めてでして…皆様はなぜこんなところに?」

クララは調査団のことや、宝珠のことを簡単に説明した。

「そうでしたかなるほど…ワタクシめとしてもエリシオンの方を招きたいのですがまずは陛下にお話をしないと…」
「いえ、こうして連絡を引き受けてくれるだけでも私たちとしては助けになります」
調査団についてはうまく交渉ができた、が…

「そしてその宝珠でしたっけ…ワタクシめにはわかりかねますねえ…あっ!キタキタ!!」

アーデルが話を遮って海の方を見る、遠くから波を立てて黒いなにかが近づいてきた。

「あれは?」
クララが尋ねる。

「ヤツめはキーラ、シャチ族で我々ペンギン帝国の雇われ調査団ですぞ。気性は少々荒いがイイヤツです、皆様にも紹介しますぞ」
「待ってアーデルさん!!彼…何か様子がおかしい!!」
「えっ?」

違和感に気付いたローナが身構えると、キーラと呼ばれたシャチがなんとプラズマキャノンを放ってきた。プラズマキャノンとは大型魚や海洋種が得意とする必殺技で、空気中・水中問わずとんでもない破壊力を持つ。アーデルは退けたがローナは自分が回避することを考えていなかった、その時だった!!

「大いなる女神の力よ…光の盾となり彼の者を護りたまえ…リフレクター!!

ナタリーが聖術の詠唱を完了しており、ローナの目の前に光の壁が生まれた。距離減衰があったのか、プラズマキャノンはなんとかリフレクターで防ぐことに成功した。

「ローナさん!大丈夫ですか!?」
「うん、ありがとうナタリー」
「どどどどどどどっ!?これはどういうことですかっ!?!?!?確かに気性が荒いヤツですがこんなヒドいことするヤツじゃないのに…!!」
「はい、彼は今…黒い影に憑りつかれています!!」

黒い影…かつてローナを襲った小狼やゴブリンの王に憑りついていた得体の知れない邪悪な力である。今までは力の弱いものに憑いていたためなんとでもなってきた。
しかし今回は相手が相手、強大な破壊力を持つシャチ族の戦士であり、元が気前のいい豪快な人柄で愛されているアンタークの勇者である。傷つけるわけにもいかないし、そもそもまともにやりあってローナ達が勝てる相手でもない。だが、ローナには考えがあった。

「ねえナタリー、さっきの壁を作る聖術って形や角度を変えられたりする?」
「えっ?ある程度なら自由に作れますけど…?」
「ありがとう、じゃあこういうのは…どう?」
「ええっ!?本当にそんなことするんですか?」

ナタリーがローナの突拍子もない作戦に驚く。クララは「やっぱりな」と言いたげな表情で微笑んでいる。
「クララにもお願いがあるの。私のブーツに強化魔法をかけて!」
「もう…ローナったら普段は落ち着いてるのにここぞというところで変なこと思いつくのね。無茶はダメよ」

クララの得意は魔法は装備品の強化。マントに防御強化を、ブーツに速度強化の魔法をかけて準備完了。ローナはナタリーとアーデルの護衛担当、ナタリーはリフレクターで足場を作り、ローナがその足場を飛び移ってキーラの真上に位置し黒い影の解呪を試みる。次のプラズマキャノンを撃ち出すタイミングで作戦開始だ。
「アーデルさん、あなたのお友達は私が…いえ、私達が必ず助けて見せます!」
「ななななんだかわかりませんがよろしくお願いしますぞ~~~ッ!!」

そうこうしてるうちに、2発目のプラズマキャノンが飛んできた。まず初撃をクララがシールドで受け流し、ローナが足場上となったリフレクターの光壁に飛び移った!
リフレクターが浮いていられる時間は短いため、ナタリーは詠唱ではなく精神力使用による聖術の活用という、常人であればめちゃくちゃ疲れる方法を選んだ。が、それもローナを信頼しているからこそである。5枚ほどの光の足場、距離にすると30m程飛び跳ねてローナはキーラの真上にジャンプした。
「やっぱり…影の影響で力は強力になっているけど…反応は鈍い…!!」

ローナは見抜いていた、黒い影の影響で性格は狂暴になり出力も強大になる。
だがその代わりに反射神経や注意力・洞察力等は大幅に鈍っている。それゆえに感覚の鋭いシャチ族でもローナの高速移動に気付くことができなかった。
「邪悪なる影よ…あるべき場所へ…還れ!!」
宝珠を強く握りしめ、空中で七支刀を掲げるローナ。その時、キーラに憑りついた黒い影が抜けて形を作り出した。
強力な影故か、簡単な浄化法では抜き去ることしかできなかったのだ。
「しまっ…このままじゃ…落ちちゃう…!!」
後のことを考えてなかったローナは海に真っ逆さま…その時!!

「!!!」
「へへっ大丈夫かお嬢ちゃん…世話になったな!」

正気に戻ったキーラがジャンプし、背中でローナを受け止めた。

「あとは俺に任せてくれ!あのヤロォ人の身体で好き勝手しやがって…絶対許さねぇぞォオイ!!」

キーラは気を集中させ、黒い影の塊に再度プラズマキャノンを放った!ローナの浄化を受けたキーラの気にも浄化の力が一時的に宿ったのか、本来であれば浄化以外で消滅させられない影を消滅させたのだ!!

「俺はシャチ族のキーラ、なんか迷惑をかけてしまったみたいだからみんなに謝らねえとな…!!」

ローナの無謀ともいえる度胸が、一人の英雄の心を救い出した。

 

-つづく-