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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第一二話「オロチの使徒」

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 アズマに着いて、岩崎家の道場に泊まらせてもらったローナ一行。
今日はどうやらリサの学校が休みとのことで、ネサク師範の言っていた宝珠が祀られた神社へ向かうこととなった。

「じゃおじいちゃん、行ってきま~す!」
「うむ、4人とも気を付けていってくるのじゃぞ!!」

休みだというのに制服めいた格好で出発するリサ。さすがに靴はスニーカーを履いているが、彼女曰くこれが正装であり戦闘服とのことだ。

「あの…リサさん、神社って歩いてどのくらいの距離なのですか?」
「う~んっとね…だいたい30分くらい歩くかな?」
体力に自信がないナタリーがリサに尋ねる。
スニーカーに履き替えたリサはともかく、3人ともあまり歩きやすいとは言えない形のブーツを履いているので足裏の負担が気になるようだ。
特別な訓練を受けているローナとクララはともかく、ナタリーは心配らしい。

「大丈夫よナタリー、なるべくゆっくり歩くから」
「いざとなったら私が抱っこしてあげるね♪」
「んも~クララさ~~~~ん」

「三人とも仲良しさんだねぇ~」

と、そんな他愛のない会話をしつつちょっとした山間にある林の中に入っていった。
まだ午前9時だが、鬱蒼とした雰囲気に包まれていた。

「神社はこの奥!もうちょっと歩くよ~」
「うん…この感じ、近づいてきてる!」

なんとなく宝珠の放つ力の感覚がわかってきたローナが早速感じる。
そこから10分ほど奥へ歩くと、小さな鳥居と祠が見えてきた。
手元の宝珠も強く共鳴しており、ここが師範の言っていた神社で間違いないだろう。

「この感じ…間違いない!ここにも宝珠があるのね…」
4人で手を叩き一礼、そして祠に祀られた宝珠に目を向けた。

「これは…緑色!?」

ローナとナタリーの持つ赤い宝珠とは異なり、祀られていた宝珠は緑色をしていた。
しかし放つ波動はほぼ同一で、共鳴は強くなる一方。この緑の宝珠も間違いなくアマテラスが残したものと、ローナは確信していた。

4人で手を伸ばし、宝珠同士を近づけた。宝珠同士が共鳴し、力強くも優しい波動が4人を包み込んだ。2人の持つ宝珠の波動も共鳴を受けて一段階強いものへと進化した。
そしてまた、前のように異なる次元のヴィジョンを見せたのだ。

「今度は…ここよりも深い森…?」

アズマのこの林よりも深く鬱蒼とした森の中、大きな神殿の中にまた次の宝珠がある。
今迄よりも更に具体的に宝珠が伝えてきたようだ。

「クララさん…今のは一体どこなのでしょうか…?」
「うーん…私もわからない…他の次元全てに行ったわけではないから…」
「ねえ、あたしたちだけじゃわからないし、一回道場に帰っておじいちゃんにも聞いてみようよ!」

このまま立ち往生しても仕方ない。まずはリサのいう通り一回道場に戻ることにした。
そして林を出たその時だった。

「ッ!!危ない!!!!」

クララが前に出て盾を構える。なんと飛んできたのは小型の投刀。
どうやら何者かにつけられていたようだ。

「卑怯よ!姿を現しなさい!!」
「これはこれは…さすがエリシオンの騎士といったところでしょうか…」

色白い肌をした怪しい男が4人の前に姿を現した。
一見して中性的な顔立ちと声の美男子だが、どことなく危険な雰囲気を醸し出していた。
ローナ、ナタリー、リサも身構えた。

「申し遅れました、私の名はカラス。貴方達の持つ【オロチの鱗】、これは私達のものです。返していただきに参りました。」
「!!なぜあなたがそれを…?」
「昨日駅前で見てしまいましたよ、貴方達が盗賊に盗まれ、街中で暴走させてしまうところを。私が安全なよう処置致します、さあ渡していただけませんか。」
男が丁寧な口調で語り出す。

「…ダメよ。」
クララが強めの口調で言い返す。

「あなたのような得体の知れない人間に渡せるような代物じゃない、そもそもいきなり不意打ちなんてする汚い男の言うことなんて信じられない!渡すものですか!!」
クララの言い分がもっともである。今は宝珠の力で封印できているため、むしろ手放すのも危険なのである。

「…そうですか、なら力ずくで…!!」
「!?」

クララが不意をつかれ後ろに回り込まれる…が、その猛スピードに反応できたリサの膝がカラスを狙うッ!!

「おおっと、私の速さについてこれる人間がいましたか。お見事です」
「キミねぇ!ヒトサマがダメって言ってるんだからダメなのよ!あきらめなさい!!」

間一髪膝蹴りを回避したカラスに対し、リサが怒った口調で言い放つ。
ローナとナタリーも武器を抜き臨戦態勢になった。

「多勢に無勢とはこのことでしょうか…仕方がない、今回はこの辺で失礼いたします。次回はまた、オロチ様復活のため【鱗】は返していただきますよ!!」

黒い煙幕とともにカラスが消え去った。
最後の一言…明らかに余計ではないだろうか?母がかつて死力を尽くして封じたオロチが…復活?しかもそれに加味する人間がいる…?
不安がるローナであったが、今それを考えても仕方がない。今は道場へと帰るのだった。

つづく。