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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第二十七話「暗き闇の中に」

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火山次元での旅を終え、宝珠に炎の力を宿したローナ一行。
だが未だに母の消息は掴めず、宝珠が見せる映像のみを頼りに宛てのない旅を続けるしかない。

火山の神殿から歩くこと30分ほど、次の次元に繋がるポータルが見えた。
本来ポータルとはくぐるような形で置かれているものなのだが、このポータルはなんと地面に敷かれたような形で配置されている。直径10m程の大きな穴のように、ぽっかりと開いていた。

「…これってもしかして」
「…そのようね」
「…飛び降りろ…ってコトですか!?!?」

「2人とも安心して、あまりにも高度が高かったら私の魔法でなんとかするから!」

クララの魔法はエンチャント、即ち武器や衣服を強化するといったものである。
単純な魔法ながらも応用が利くため、着地の衝撃を和らげることもお手の物である。
すさかずブーツとマントに浮力強化の術をかけて、多少の空中制御を取れるように構える。

「さあ、準備はいい?行くわよ!!」
「うん、行こう!」
「私も準備はできました!!」

クララの号令に合わせて3人がポータルの穴へ飛び降りる。
穴はそれなりに高度があったが、クララの魔法のおかげでパラシュートのような感覚で降りることができた。

「ふう、無事に着地できたわね。二人とも大丈夫?」
「うん、ありがとうクララ!」
「あわわわわ…ちょっと怖かったです…」

着地は問題なかったが、高いところが苦手だったのか尻餅をついてしまうナタリーにクララが駆け寄る。
手を取り立たせてあげた後、なんとクララはそのままナタリーをお姫様抱っこの構えに出た。

「どう、これでもう怖くないでしょ?」
「あの…クララさん…その…恥ずかしいです…///」

恥ずかしさに顔を赤くするナタリー、そして眺めながら笑顔で微笑むローナ。

そんな茶番も楽しみながら、宝珠の共鳴を頼りに暗闇の中を歩いていく。
おそらくここはほとんど何も通らない道なのだろうか、ちょっとした獣道といった感じだ。
そしてしばらく歩いた先に、開けた道に出た。街の明かりも見えており、宝珠の共鳴も強くなる。
もしかしたらこの街の奥にこの次元の宝珠が…?そんな淡い期待と戸惑いを胸にこの「街」へと進んでいった。

『いらっしゃーい!よっておいでよー!!』
『今朝入った新鮮な肉入ってますよ~!』

暗闇の次元とはなんのことやら、街の中はイルミナの街に負けずとも劣らず栄えている。
住人は異形の姿こそしているものの普通の人間と何ら変わりない、この街で暮らしているのだ。

「おネエちゃん達、ひょっとして『上』からきたのかい?珍しいねぇ」

話しかけてきたのは…ゴブリンだ。といっても『上』の世界で見た邪悪で狂暴な種族ではなく、言葉も通じるし敵意もない。どうやらこの街で武器屋を営んでいるようだ。

「ここは地下次元『リンボ』っていうんだ。ここに住んでる連中はみんな見た目は怖いけどいいヤツばっかりだから安心してくれヨォ」

「あの、こういう宝珠を探してるんですが見たことないですか?」
ローナがポケットから赤の宝珠を見せてゴブリンの商人に尋ねた。

「おおっ!これの色違いなら今この国を治めているヒメさまが大事に持ってたと思うヨ、オレも一度見せてもらったことがあって、キレイだったんだヨォ」

棚から牡丹餅とはこのことだろうか?最初に話を聞けた住人から重要な情報が聞けた。

「おネエちゃん達運がいいネェ、ヒメさまは昔のこともあって『上』から来たヒトから話が聞きテぇって言っててヨ」

「ということは話を聞いてもらえるの!?!?」
「もうちょっとしたら城門が開くから衛兵に聞いてみたら入れてくれるかもヨ、ところでおネエちゃんたちなんか買っt」

「ゴブリンさんありがとうございました~!!」

なんか押し売りされそうな雰囲気だからその場を素早く立ち去るのであった。

~つづく~