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【創作】ローナ~銀陽の少女~ 第十八話「魔戒才蔵」

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前の話

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 「フフフ…お久しぶりです皆さん。今日こそオロチ様の鱗の破片、渡していただきますよ。」

スカイウッドの森の中、3人とラシノスは招かざる客と出会ってしまう。

「カラス…!この間はよくもやってくれたわね!」
「あなたのような悪い人に…これは渡せません!!」
臨戦態勢になるクララとナタリー。

「なんだ奴は…お前たちを追ってきたのか?」
「はい…彼は私達が持っているこの破片が目当てみたいです。」
「渡してしまってはいけないのか?」
「この破片はとてつもない邪悪なエネルギーを秘めています。だからこそ、得体の知れない者に渡すわけにはいかないんです。」

ローナがラシノスに事態を説明する。

「だからラシノスさん…彼は私達がどうにかします。だから…私達のことを信用していただけないでしょうか?」
「…わかった、だが無理はするなよ」

「ほう…そちらのエルフのお姉さんは戦わないのですか…まあいいでしょう。」
「貴方の相手は…この私よッ!!」
独り言を垂れるカラスにクララがとびかかったッ!!

「おおっと!威勢のいいお嬢さんだ、しかし今回貴方達の相手も私ではありません。」
「は!?それってどういう…」
「先日アズマでお会いした後、ちょっと面白いものを見つけてしまいましたね…貴方達は実験台になっていただきますよ。」

カラスが挑発的な発言をし、指を鳴らす。そしてヤツの後ろからもこもこと音を立てて、巨大な人型の魔物が姿を現した。

「何よあれ…アズマの忍者というの?」
「あの辺はかつてお城があったそうでしてね、調べたら兵士や忍者の霊魂、そして遺骨が大量に眠っていました。それらを集めて私独自に新たな妖の兵士を作ってみました。」
「なんてことを…!あなたは死者の魂を道具としてしか見ていないのですか!?」

死者の肉体と魂を冒涜したことに怒りを露にするナタリー。

「死者の意思なんて知ったことではない、むしろ再び戦場に立てることを感謝していただきたいですね」

「こいつ…!腐ってる…!!」
「もう話しても無駄みたいだね…クララ、ナタリー…あいつを止めましょう!!」

「やはり抗うつもりですか…ではあの小娘3人を滅ぼしてしまいなさい…【魔戒才蔵】!!」
「フシュルー…フシュルー」

魔戒才蔵と名付けられた巨大な忍者の妖が、不気味な唸り声をあげて3人に襲い掛かる。
しかし巨体故か動きは遅く、二手に分かれたローナとクララを捉えられず同時に斬撃を受けた!!

「今のは確かに手ごたえがあった…でも…!!」
「全然…効いてない!?」

「ローナさん、クララさん!気を付けて!そいつは不死者故に…単純な斬撃だけじゃ効かないです!!」
「ほう…気付いてしまいましたか…」

攻撃を真正面から受け止めた才蔵がローナとクララに向かい、自分もの背丈がある巨大な太刀を振り下ろした!!

「危ない!!」
「くっ!!!!!」

2人は間一髪ジャンプで回避!叩きつけた太刀は轟音を立てて地面に巨大な亀裂を残した!!

「なんて力…!あんなのもらったら…!」
「私の盾でも防げなさそうね…」

才蔵の隙を見計らいクララが耳打ちをする。
「ローナ、私がなんとか注意を引くからタイミングを見計らってあなたの神通力を奴にぶつけるのよ!」
「!!ダメだよそんなの…危険すぎる…」
「大丈夫よ…私を信じて!その間あなたはナタリーと共に気をためて!」
「わかった…気を付けてねクララ…!!」

そう言い残すとローナは後ろへ、クララは前に出る。
クララが自信の強化魔法(エンチャント)をブーツとマントにかけてスピードを確保、盾を強化しない分余力が回る。

「ローナさん!あの者は不浄な力だけでなく、死者の魂が巨大な塊となりコアを形成してます…倒すには神通力を流し込むだけでは足りないかもしれません!」
「そんな…今の私には神通力を込めるだけでもやっとなのに浄化の力も必要なの…?」
「大丈夫…浄化の力は私が何とかします!ローナさんはあの肉体を貫ける神通力を込めることに集中してください!!」

「気づいてしまいましたか…もちろんさせるわけにはいきませんよ!!」

ローナとナタリーが力を溜め始めようとしたその時、傍観していたカラスが超スピードでナタリーを捕らえた!!

「そこまでです、これ以上好き勝手な真似をすると彼女の命はありませんよ…!」

絶体絶命状況!!!!

-つづく-