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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第二十五話「翁」

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灼熱の火口の中、マグマに囲まれた神殿へ行くための手段を模索するも見つからず立ち往生のローナ一行。
そこに怪しげな能面を被った、怪しげな爺さんが立っていた。

「ふぉっふぉっふぉ…お困りのようじゃのう」

「誰!?!?!?」

「儂は怪しい者ではない…」

「いや…十分怪しいんだけど…何よ…なんなんですかあなた一体!?!?!?」

珍しく取り乱すクララ。一方でローナは落ち着いている。

「おじいさん…もしかしてイズモの人?」

「ふぉっふぉっふぉ…見破られてしまったの、さすがはローナ姫じゃ」

「どうして私のことを?」

「儂は永い間イズモを離れていて暮らしておったが…風の噂でイズモの現状を知ってな…姫を探していたのじゃ」

「何故私を?」

「それについては今はちょっと言えんがの…今日はオヌシ達に助言をしにきたんじゃ…」

と、このように話を二人で進めていたのだがクララとナタリーは納得していない。

「ここまでの話聞いて、貴方がイズモ人でローナのことを知っているというのはわかったわ。」
「ふぉっふぉっふぉっ、物分かりのいいお嬢さんじゃのう」
「まだ名乗っていなかったわね。私はクララ、イルミナの騎士よ。」
「わ、私はナタリー、イルミナ人です。」
「ふぉっふぉっふぉ、自己紹介がまだだったの。儂はオキナ、前は旅をしていたが今はこの辺で隠居暮らしをしておる。」

なんとか自己紹介をさせたものの、能面を被っているせいでどうにも不信感が拭えないクララとナタリー。
ローナもかなり半信半疑の様子。

「ねえローナ、あの人…信用できるの?どう考えても怪しいわよ…」
「うん…でもイズモ人なのは嘘じゃないみたい…」
「宝珠の反応を見た限り闇の者ではないのは確かなのですが…どうにも信用できません…お面のせいでしょうか…?」

「ふむ…信用してもらえんようじゃの…この溶岩についてちょっと話そうと思ったんじゃが」
「え?」
「ふぉっふぉっふぉ、オヌシらはこの溶岩の先にある神殿に向かいたいのじゃろう?」
「!!なぜそれを…?」

驚くクララとナタリー、そして唾を飲み込むローナ。

「何か知っている…ということね。」
「さすがローナ姫、理解が早い。オヌシはやはりというべきか、強い神通力を持っているようじゃの。その神通力を通して、物質をある程度操作できるというのは知っておるかな?」

確かにローナはイルミナでの決闘の時、会場の空気エネルギーと熱量を神通力で変換して、巨大な竜巻の刃を作り出した。
あの時は無意識であったものの、「できる」ということが重要。ここでは溶岩と地面のエネルギーを神通力で変換すれば足場がつくれるんじゃないか?という理論だ。

「ま、机上の空論だの。できるかどうかはオヌシ次第じゃ…」

そう言い残すとオキナはどこかに消えてしまった。
ローナは少し考えた後、小さく頷き地面に七支刀を突き刺してクララとナタリーに語り掛ける。

「私一人の力じゃダメかもしれない、だから…クララとナタリーの力を貸して!」
「もちろんよ!」
「全力で頑張ります!」

3人で七支刀の柄を握りしめ、溶岩に気を送り込む。

「溶岩よ、我が力に応え…大地へと姿を変えよ!!」

その力が大地に通じたのか、溶岩から巨大な岩が突き出し、かろうじて人が通れなくはないような状態になった。

「はあっ…はあっ…なんとか…なった…!」

力を使いすぎたのか、ローナが尻餅をついた。
なんとか足場を作ることはできたが、これでは足場もローナもまともに歩ける状態ではない。しかしクララは逆にローナの神通力に触れたことで身体が活性化しており、普段以上に力を発揮していた。

「二人とも離れていて、ここは私に任せて!!」

そういうとクララはその場にしゃがみ、自身のソードにエネルギーを溜め始めた。
「ローナの道は…私が斬り開く!騎士団奥義、オーラブレイド!!」

おもむろに立ち上がって、剣に溜め込んだエネルギーが斬撃の刃となって放たれた。
巨大な棘のような突き出た岩は削られ、悪路ながらもなんとか歩ける状態となった。

「やったわ!!」
「く…クララさんすごい!ローナさん、立てますか?いきましょう!」

成功に喜ぶクララと、ローナの手を握り歩くナタリー。なんとか神殿までの道が開かれたのだ。

「このまま進むのは暑すぎて大変ですね…私に任せてください!」

女神よ…灼熱の業火より我らを守り給え…サンクチュアリ!!

ナタリーの周辺が優しい光のフィールドに包まれる。

「さあ、これで少しの間ならちょっとだけ暑さを凌げると思います。行きましょう!!」

3人は溶岩に落ちないよう、身を寄せ合い手を握り合って神殿に進んでいった。

-つづく-