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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第十九話「浄化」

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前の話

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キャラクター紹介

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 「そこまでです、これ以上好き勝手な真似をすると彼女の命はありませんよ…!」

ローナとナタリーが魔力を集中し始めた矢先、カラスが背後から迫りナタリーを捕らえ、首筋に小刀を突き立てた。

「しまった…ナタリー!!」

気付いたローナがすぐさま構えを解いた。ラシノスもまた手を出せない状況。

「ローナさん、貴方なら状況がお代わりでしょう?下手に動いたら彼女がどうなるかことくらい!!」
「ご…ごめんなさいローナさん…私のせいで…」

カラスが得意げな顔で勝ち誇る。一方ナタリーは突然のことともありかなり怯えている。

「卑怯よ!ナタリーを離して!!」
「ふふふ…私は目的のためなら手段は選びません。この少女を助けたいというなら…まずは欠片を渡していただきましょうか…」
「くっ…」

ローナが鞄から破片を取ろうとしたそのときだった。

「ダメですローナさん!こんな奴のいいなりになってはダメ!!」
「ナタリー!?」
「お黙りなさい!本当に殺してしまいますよ…!!」
「ローナさん!私のことは構わないでください!オロチの復活に加担してはいけません…その破片は渡さないで…!!」

こうもしている間にクララは一人で才蔵と戦っており、こちらの状況を伝える手段もない。一体どうすれば…!?

「おのれこの小娘…いいでしょう、お望み通り殺してやる…!!」

思惑が外れ激昂するカラス。小刀がナタリーの首にかかる…まさにその瞬間だった。

ズギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

「!?」

カラスの背後、足元辺りに銃弾が弾け飛ぶ!!
カラスはバランスを崩しナタリーの拘束が離れた。ローナとラシノスがナタリーに駆け寄る。
「ナタリー大丈夫!?でも今の銃撃ってもしかして…」
「全く…無茶するな君は…本当に聖職者か?」
「ローナさん、ラシノスさん…本当にごめんなさい私のせいで…!ローナさんは早くクララさんの援護を…私に考えがあります…!!」
「わかった…行ってくるね!」
幸いナタリーにケガはなかった。ローナはラシノスにその場を任せクララの援護に向かった。

「クソ…なんだ今の銃弾は…奴は何者だ…!?」
体勢を大きく崩したカラスは辺りを見渡す。

「用事で故郷に戻ってきて久しぶりに知り合いの声を聞いたと思ったらな悪そうな奴に襲われてたんだが…やはりお前は悪党らしいな。俺はレイズ、傭兵だ。」
巨大な猟銃とメイスを構えた人狼族の屈強な傭兵、レイズ。かつてローナとクララの初任務を援護した男の中の男だ。

「おのれ…これ以上好き勝手は許さん!ひねりつぶしてくれるわ!!」
「いいぜ。相手になってやるよ。」
激昂したカラスがレイズにかかった。

「ナタリーと言ったな、そろそろ息は整ったか?」
「はい…なんとか落ち着きました。ありがとうございますラシノスさん。」

安堵する二人、だがまだ油断はできない。
カラスはレイズが足止めをしているが、今度は物理攻撃が一切効かない魔戒才蔵をどうするのか?ナタリーには考えがあった。

「ラシノスさん、貴方の力を貸してください。あの巨大な忍者を倒すためには浄化の力をコアにぶつける必要があります。」
「なるほど…しかし私に浄化の力なんてない。私にできるのは弓矢と自然魔法だけなんだ。」
「そこでです、私がラシノスさんの矢に浄化の力をめいっぱい込めます。ローナさんの神通力ならおそらく表面を剥いでコアを露出できます、その時に…打ち込んでください!」
「!!重大な役目だな…そうと決まれば二人の側に行くぞ!」

 

「…!!!」
「くっ…もう持たない…まだなのローナ!?」
魔戒才蔵のすさまじく重い一撃が空を切る。
なんとか持前の脚回りと防御術で攻撃を凌いできたが、そろそろ限界が近い。それでもクララは友を待つ。

ズシュウッ!!

神通力を纏った七支刀の鈍くも鋭い一撃が魔戒才蔵の片腕を切り落とした!ダメージが大きかったのか一時的に動きが止まった。

「お待たせクララ!待たせてごめんなさい!!」
「ローナ!ナタリーは…ナタリーは平気なの!?」

クララも戦いながらナタリーの様子を気にかけていたが、レイズとラシノスに助けてくれたことは気付いてなかった。
そこにナタリーとラシノスが駆け寄ってきた。

「ごめんなさいクララさん、私が足を引っ張ってしまいました…」
「ナタリー!無事でよかった…」
「無事を祝うのはまだ早い、今度はヤツを仕留めるぞ!2人とも…私に力を貸してくれ!」

ラシノスは作戦を伝えた。
ローナの一撃で表面を破壊し、核部分に浄化の力を帯びた矢を打ち込む。
作戦の準備として、魔戒才蔵が止まっている間にローナはもう一度七支刀にめいっぱいの神通力を込め、クララはローナのマントとブーツにエンチャントの魔法、ナタリーはラシノスの矢にありったけの浄化の力を込めた。

「…ぅぅぅぅぅ」

そうこうしている間に魔戒才蔵が再び動き出す。
チャンスは一回、失敗したらもう後は無い。少女たちは覚悟を決めた。

「…!!」

魔戒才蔵は残った片腕で大刀を振りかぶり、ローナに襲い掛かった!

「させないわよ!!」

ローナの2歩後ろにいたクララが飛翔!闘気を剣に込めて斬撃の衝撃波を発した!!

「!!!!」

魔戒才蔵の肩に命中!大したダメージは無いが体勢が大きく崩れた!!

「はあっ!!」

その隙をついたローナが神通力を込めた斬撃で胸部を引き裂いた!!
魔戒才蔵の鋼の如く胸部の皮膚は焼けただれ、醜い形状の核が露出した。

「「ナタリー!!」」
ローナとクララが叫ぶ。

「女神エリスよ…不浄なるものをあるべき姿に…そして我らに加護を!!ピュアフィケイション!!

詠唱が完了し、ラシノスが構えた矢が優しい光を纏う。

「打ち抜く!!」

ラシノスの放った矢は醜い核の中央に命中した。
すると核は光を放ち、魔戒才蔵の肉体は崩れ落ちていく。

「やった…のか…?」

「ゔぇぇああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

耳を劈く地獄のような断末魔の悲鳴を上げながら、無敵と思われた巨大な忍者の化け物は姿を消した。

~つづく~