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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第二十九話「我が愛する者」

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地下次元『リンボ』に訪れたローナ一行。
宝珠の幻視に導かれ暗闇の世界へ足を踏み入れ、手掛かりを集めつつ、前の不思議な出会いが気になりつつも、ついに謁見の時が来た。

「次の者、入れ!!」

遂にローナ達の順番が来て、城内へと案内された。
城の中は少し薄暗いが豪華な装飾で、その作りはイルミナの城ともよく似ている作りをしていた。
人間も魔族も、建築美術についてはあまり変わらないということなのかもしれない。
そうこう見ていたら大きな扉の奥の、女王の間に辿り着いた。

「女王様、次の謁見者をお連れ致しました。上の世界から来た、人間の少女3名です」
「うむ、通せ!!」

魔族を束ねる女王、その姿は絶対的なカリスマ性を持ち威圧感も備える…そう思っていたのだが…。

「そなたらが上の世界から来た旅人の娘三人組じゃな!?噂は聞いておるぞ、苦しゅうない近こうよれ!!」

女王の姿は、3人の予想とは大分違った無邪気な小さい少女のようであった。
しかしその奥からは気品やカリスマ性、威圧感といったものは感じる。やはりただものではないようだ。

魔族の小さな女王「セーヌ」は今から数年前、圧政をひいていた前王の娘だがそのやり方に反発したため幽閉されており、とある人類の若者によって起こされた革命により解放。その後は反乱軍及び国民の声もあり王座に就いた。
聡明で優しかった母の面影もあり、現在では多くの魔族の支持を得ている良き指導者となった。
しかし本人は父のかつての行いが心残り、まだまだ母には及ばないとのことでもある。

「で、そなたらは宝珠を探してここまできた。ということじゃな?」
「はい、今までいろんな次元でこれの色違いの宝珠を見てきました。」

ローナとナタリーが赤い宝珠を出して確認する。
2つの宝珠そのものも旅を始めた時とは比べ物にならないほど強い力を蓄え、輝きも増していた。

「なるほど!それならちゃんと別室に祀っておるぞ!先日もそなたによく似たお姉さんが訪ねてきたところで、何やら力を込めていったぞ!」
「!!!」

セーヌは確かにローナを見てこう言った。「そなたによくにたお姉さん」と。

「セーヌ様!…その女性の方が来たのは…いつ頃でしたか…!?」
ローナがちょっと食い気味に尋ねる。
「う~ん確か…2か月前くらいじゃったかの…?そんなに大事なことじゃったか…?」
2か月前、それはローナが旅に出る少し前のことであった。
ローナによく似た女性、それは彼女らが捜しているイズモの女王、つまり自身の母親なんじゃあないか…!?ということだ。

「まあまあ焦ってもしょうがないじゃろ、今宝珠の間に案内してやろうぞ!」
そういうとセーヌは歩き出した、ローナ達3人も後を追う。

城内の奥、地下室宝物庫の奥の間の台座に宝珠は祀られていた。セーヌが語るにはこれは先々代の王の時代よりイズモから贈られた大切なものだそうな。
そして宝珠の色は黒。漆黒の闇のようだがどこか温かみのある優しい雰囲気を出していた。
ローナとナタリーは宝珠を差し出して目を閉じた。

「…ここは…イズモ…!?」

見えたのは、かつての災害に見舞わられて荒れ果てたイズモの大地であった。
6つの次元を又にかけた長い旅の終点は始まりの地であるイズモなのかもしれない、ローナは一種の覚悟を決めて故郷へと戻る決心をした。

セーヌによれば城内には使われてない転送ゲートがあるらしく、ある程度の魔力を混めれば別の次元の好きな場所に戻れるということらしい。
旅で成長した3人とセーヌは集中して力を籠めると、ゲートが光出した。

「では3人の旅の無事を祈っておるぞ!そうじゃそうじゃ、名を聞いておらんなった!教えてはくれぬか?」

「私はローナ」
「私はクララ、イルミナの騎士です!」
「ナタリー…です…」

「ほほぉ~!みんな可愛らしい名前じゃのう!ローナ、といったかの?そなた名前の意味を知っておるか?」

「え?お母さんがエリシオンの言葉で【太陽】って言ってましたが…」
突然の質問にあっけを取られるローナ。

「うむ!だがもうひとつ、エリシオンの古い言い回しで【我が愛する者】という意味もあるのじゃ!素敵じゃのぉ~♪」

「ええっ!?」

突然の情報に顔を赤く染めるローナであった。
そうこうしてるとゲートが開きだす。

「古いゲートということで、ちょっと中の安全がわかりません…私に任せてください!」
ナタリーが杖を掲げ、保護の神術を唱えた。

3人の旅は、イズモへと移っていった。

-つづく-