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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第五話「手がかり」

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 前回のあらすじ

nsmring-style.hatenablog.com

 

 激闘の末、ゴブリンを殲滅しゲートを封じたローナとクララ、そして戦士レイズ。
三人は念のため洞穴内を虱潰しに調査し、生き残りの始末と略奪された宝物等が無いかを確認していた。
宝物庫らしき部屋を見つけたローナが、何か違和感を感じる。

「この感じ…ここにお母さんが…!?」

財宝の量は大したことがなかったが、その中にひとつ、小さいが一際輝く赤い宝玉を見つけた。ローナの感じた気配はこれだった。
宝玉からは、わずかながら母アマテラスの神通力を感じる。イズモで作られたことは間違いないのだが、なぜこんなところに…?
気になるローナであったが、財宝は調査及び返却の都合があるので一旦元に戻して、集落へと持ち帰ることにした。

調査が終わり一行が集落に戻る。レイズは「次の仕事がある」と言い、族長から報酬をもらいすぐに立ち去ってしまった。
クララはすぐにイルミナの騎士団本部に連絡して、財宝の鑑定及び運送を手配。ついでに自分もそのまま本部へ帰るとのこと。
行く当てのないローナに対して、クララは一緒に来ないかと誘う。もちろん断る理由なんてどこにもなかったのだ。

 

それから1時間後くらいに騎士団の車輛が到着。その前に族長に宝玉の話をしてみたが全く手がかりは掴めなかった。
騎士団の関係者なら何か知っているのではないかと思い、藁にもすがる思いでローナはイルミナへ目指した。

-騎士国家イルミナ-
確認されている「次元」の中でも最大級の面積を誇るエリシオンが誇る、全次元の中でも最も巨大な国家。その統治は「騎士団」により行われ、商業・産業・農業も盛んな、まさに中枢都市だ。クララは学生といえど騎士団の一員で、主に調査や人命救助等の仕事に携わっている。
ローナは騎士団の諜報隊員なら何か母の情報を知っているのではないだろうか?情報を集めるいい機会だ。

「あ、待ってローナ。騎士団の人にあなたを紹介しなきゃ!」

イルミナの入り口の関所、その近くの要塞こそが騎士団の本部になっている。クララはローナを招き入れた。
本部内の会議室、待っていたのは正装をした長身の青年が待っていた。

「ローナ、紹介するわね!こちらが騎士団の団長で私の師匠である、騎士のギルバート様よ!」

「初めまして、私が団長のギルバート・レガシスだ。どうやらクララが世話になったようだね、私からも礼を言わせてもらうよ。」

騎士らしく、物腰柔らかな好青年であった。しかしその中に感じられる強者の風格を兼ね揃えており、ローナは一瞬唾を飲み込んだ。

「こちらこそありがとうございました…クラr・・・クラリス様には命を救っていただきましt」
「ああ、そんな改まんなくていいよ。もっと気楽でいいんだよ。」
「はあ…」

ローナのイメージしていた騎士の姿とは大きく違い、イルミナの騎士はどうやらそこまで厳格なものではなかったらしい。肩の力を入れ過ぎたようだ、少しリラックスしてみよう。

「ああそうだ。君がゴブリンの洞窟で見つけた宝玉だけど、鑑定官が言うにはどうやらイズモのもので間違いないそうだ。」
「!!本当ですか!?」
「ああ。鑑定官からも君に渡すように私が預かっていたんだ。持っていてくれ」

やはりローナの感じた力は間違いじゃなかったみたいだ。クララも良かったねと言わんばかりの笑顔をこちらに向けた。

「そして、君のお母さん…女王アマテラス陛下だが、イルミナの神官なら何か手がかりを掴めるかもしれないんだ。紹介状を書くから当たってみてはどうだろうか?」

騎士ギルバートは手回しが早かった。得体の知れない「力」を持っていながらも、その笑顔や立ち振る舞いには裏表を感じられず、ただひたすら善のものだった。
ローナも少しずつ緊張が解け、安心し始める。この人が仲間でよかった、と。

「そして騎士クララ、君に新たな任務を命じる。少女ローナの護衛、そして女王アマテラス陛下の捜索だ。頼んだよ!」

「はいっ!!」

こうして、ローナとクララの旅は再開した。

負けない、私は何があったって、お母さんを見つけるまでは絶対に負けないッ!!

 

第五話 完
6話に続く。