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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第四話「殲滅戦」

前回


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人狼族の村からの依頼で、森の外れにある洞穴の前に来ているローナとクララ。その横には人狼族の戦士レイズも共にいた。
長の話ではこの洞穴がゴブリンの巣穴となっており、ここから無限に湧き出ているとのこと。
その謎を確かめてゴブリンを殲滅すること、それがこの3人に託された任務だ。

「大丈夫、私たちだったらやれるよ。」

クララが笑顔でローナに声をかける。一度は勝った相手だが多勢に無勢、無策で突っ込んでいってもやられるだけである。
レイズがおもむろにバックパックからアイテムを取り出す。小型の焼夷弾、癇癪玉、そして撒菱だ。
「作戦はこうだ…」
レイズが2人に作戦を伝授。ゴブリンは数こそ多いが所詮は下等生物、戦いとは智略と情報がモノを言うということを教えてやろう。

「よし、わかったな。では暗くなったら作戦を決行しよう。それまでは気付かれないように身を潜めつつ準備だ」
「「はい!!」」

数時間後、暗くなり見張りのゴブリンが1人になった隙をレイズが長銃で狙撃、見事命中。この世のものとは思えない断末魔をあげた。
「今だ2人とも!!撒菱を撒け!!」
合図に合わせて、洞穴の入り口付近に撒菱を撒いて待機。大量のゴブリンが奥から現れたが、撒菱が撒かれた狭い道で大渋滞を起こしていた。
「えーいっ!!」
ローナが焼夷弾を投げつけ、自身の神通力で破裂させた!!焼夷弾の元々の火力は大したことない筈だが、ローナに宿る太陽の神通力の影響でゴブリン達を一網打尽にした。

「今度は私の番ね!!」
クララが魔法を唱え、全員の服と靴を強化。これにより、撒菱と火の海になった入り口を強引に突破して洞穴の中に突入。一気に殲滅しようという作戦だったのだ。

洞穴の中は意外に広く、いくつかの部屋に分かれていた。さっきの作戦で軒並みゴブリンを殲滅できたのか、洞窟内はがらんとしていた。
「…おかしい。情報ではゴブリンが無限に湧き出てくるとの触れ込みだったが…少なすぎる。」
大量に殲滅したと言え、多く見積もってもせいぜい50体程度である。それに、端末のレーダーが示すゴブリンの生体反応が残っていた。このカラクリを解くため3人は洞窟内を調査する。
その時だった。

「クララ、後ろ!!」
「ッ!!!」
ローナの声に反応し、盾で背後を叩きつける。ゴブリンだ!!逆に不意打ちをもらったゴブリンは体制を崩しており、レイズが太刀でトドメを刺した。
「ありがとうローナ。しかしまだ居そうね、もう少し調査しないと。」
3人は引き続き洞窟の奥に歩を進める。

しばらく歩くと最深部と思われる大部屋に到着。そこに居たのは大柄なゴブリンが2体に、王冠を被ったゴブリン。恐らく奴がこの洞窟の王で間違いないようだ。

「幸いこちらには気付いていないようだが…位置的に狙撃は無理だ。」
「数では同数だけど…あの王がなんか怪しいわね…嫌な感じがする。」

「あれは…黒い影!?!?」

ローナは王が黒い影に取り憑かれていることに気付いた。しかも今回は前の狼についてたような小物ではなく、恐らく強力な存在だろう。
「クララ、レイズさん…私に力を貸して!!」

ローナが何かを思いついたのか、2人に思いを託した。その直後癇癪玉を鳴らして大柄を怯ませ、クララとレイズが飛び出した!!
レイズが大柄2体の両脚を狙撃し、バランスを崩したところをクララが神速の踏み込みで両腕を切断。ゴブリンに人権などないのだ。
呆気を取られた王にローナが近づく。得体の知れない禍々しさが王を包む、間違いなく「影」の影響だった。
尋常じゃない殺気を放つ王と対峙し、少し震えるローナ。王の攻撃を七支刀で受け止めて反撃。一突きから身体を貫き肉体ごと浄化させる…つもりであったが、王はなんと七支刀を素手で受け止めた。これにはローナも同様を隠せなかった。そして七支刀ごとローナを投げ飛ばした。

「危ない!!」

間一髪、クララがローナを受け止めた。王を包む黒い影は刻々と力を増しており、短期決戦を望む必要がある。
ローナとクララは賭けに出た。2人で七支刀を握り、力を流し込んだ。王も黙っておらず、2人に飛び込んだ。
「おおっと、俺を忘れるなよ」

レイズが王の足元を狙撃、黒い影の影響で大したダメージはないがバランスを崩す。

「今よ!!」

クララの一声に合わせてローナが神通力を解き放ち、黒い影を消し去った。そのままの勢いで七支刀に溜まった2人の力を光刃とし、ゴブリンの王を真っ二つに斬り裂いた。
これで邪魔者は消え去った。あとはゴブリン無限湧きの原因を探すだけだ。

玉座の後ろの壁を叩くと、隠し部屋…いや、隠しゲートがあった。どうやらこれがゴブリン無限湧きの原因だったらしい。
3人はゲートを無事破壊して脱出。洞窟から出たら、既に朝日が昇っていた。

 

続く。