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【脳内創作】ローナ~銀陽の少女~ 第三話「集落」

前回

死闘から数時間既に時は夜となり、暗い森の中では下手に身動きは取れず、ローナとクララは結界石を使ってキャンプを張っていた。
クララによると目的地は同じ集落であり、彼女も集落の長からの依頼でそこに向かう途中だった。そこに襲われているローナを発見して助太刀に入ったとのこと。

「私はイルミナの騎士として当然のことをしただけ。困っている人を助けるのは…騎士の務めよ」

結界石の中の小部屋、簡易寝室の布団で2人はそれぞれの事を話す。
10年前に生き別れになった母のこと、美しかったイズモの大地のこと、10年間叔父の元で過ごしたこと…同世代の友達が居ないローナにとって、クララはかけがえのない大きな存在となった。
「母の姿をエリシオンで見た調査員が居た」なんていう不確かな情報だけで1人で飛び出してきたローナは、やっぱり不安で不安で仕方が無かった。

「ねえクララ…私、お母さんとまた会えるかな…?」
「こんな気休めなことしか言えないけど…ローナのその想いがあればきっとまた会える筈」

クララは優しく微笑む。

クララは見習いといえど騎士、イルミナ国内は勿論、エリシオンの情報網を掴むことができる。
まずは近くの集落に行って、そこで情報を得よう。

「じゃあ、改めてよろしくねローナ。おやすみなさい」

 

朝、2人は結界石を収納して森を抜けて集落に到着した。
そこは人狼族が暮らす集落であり、自然次元「スカイウッド」に通じるゲートも近くに存在する、言わばスカイウッドとエリシオンの中継地点とも言える集落である。
スカイウッド住人でも人狼族は開拓精神溢れる行動派で、エリシオンとの交流をいち早く進めようとゲートの傍に集落を作ったとのこと。
ローナとクララは集落の長に会い、依頼の話を聞くことにした。

「待っておったぞ、オヌシがイルミナの騎士か」
クラリス・フォン・ワルキューレと申します。こちらはイズモのローナ、私の友です」
「1人と聞いておったが…まあいい」
長の話によると、近頃この周辺に出没するゴブリンの巣穴が発見されたとのこと。
人狼族の開拓者に戦闘経験がある者は意外にも多くなく、イルミナが誇る最強の騎士団に協力を要請することとなった。

「ゴブリンってまさか昨日の…!?」
「ええ、間違いないわね。昨日私達が倒した連中はごく一部だったってこと。元を絶たないとね」
「ほう…オヌシら既にゴブリンと戦っておったか。それなら任せても安心できそうだ、頼めるか?」
「はい!私達にお任せください!」

食事を済ませて外に出るとメイスと長銃で武装した若い人狼の戦士が待っていた。
彼の名はレイズ。傭兵として各地の次元で戦闘経験があり、ゴブリン掃討戦は本来彼1人で行く予定だったらしい。

「ま…俺は群れるのは苦手なんだけどな…よろしく頼む」

初めての、仲間との戦い。ローナは今までにない心強さで戦いへと臨む。

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次回へ続く。