「ローナさん、まずは決闘お疲れ様です。そして勝利おめでとうございます。」
ローナ及びクララ、ナタリーはエメラルド副長に呼び出され彼女のオフィスに来ていた。
「あなたの実力も、ギルバート団長が入れ込む理由もよくわかりました…ですが今後このような軽率な行動も控えてください」
「副長!あれはゴードン隊長が」
「クララさん、貴方も貴方ですよ!貴方が止めれいればこんなことには…」
「まあまあエメラルド、そのくらいでもういいだろう」
フォローに回るクララに対し説教を開始しようとしたところ、ギルバートが割って入る。
「ゴートンは少し前の殲滅作戦で戦果を挙げて以降少し天狗になってたからいいクスリになったんじゃないかな?私からも彼にはきつく言っておこう」
「しかし団長!それでは騎士団としての示しが…!」
「エメラルド、聞いた話だと先に因縁をつけたのはゴードンの方じゃないか。あんなことを言われたらローナが怒るのだって当然だろう。」
「というわけでローナ、今回のことは気にしないでいいよ。勝利祝いというわけではないが、君が使っていたのと同じ色の新しいマントとブーツを用意させてもらったよ。使ってくれないか?」
「団長…ありがとうございます!」
新たなマントとブーツを着用して意気込むローナ。
「次の目的地のスカイウッドは前に滅ぼしたゴブリンの巣穴の近くのキャンプがあっただろう?そこにゲートがあるからそこから入れるはずだよ。」
3人は団長と副長に見送られて騎士団本部を出た。その背後からかわいらしい声が聞こえ、3人が振り返る。
「せんぱぁーーーーーーーっい!!」
本部の建物から出てきたのは、アイドル風な服装をしたピンクのツインテールの小柄な少女だった。
「ココロじゃない!元気にしてた?」
クララが少女に話しかける。
ココロ=クオーリア。
彼女まだ14歳であるが、その実力と才能で飛び級した天才。そして騎士学校で学ぶ傍らアイドル活動もしており大きな注目を集めている。
「クララ先輩長旅お疲れ様です!でもせっかく会えたのにまた任務に出ちゃうなんてココロさみしいですぅ…。」
「大丈夫よココロ、任務が終わったらまた一緒にいれるからね。あなたもいろいろ頑張ってね!」
「先輩…ありがとうございます!!」
どうやら彼女はクララのことが大好きらしい。
「あ、ご挨拶が遅れました!わたし、ココロって言います!よろしくお願いしますねっ♪ローナさん!ナタリーさん!!」
「あ、私たちの名前も知っていただいてるのですね。よろしくお願いします、ココロさん」
「よろしくねココロちゃn」
「(クララ先輩は渡さないんだから…ッ!!)」
「!!!!」
「それじゃあ先輩方、頑張ってくださいねぇ~♪」
ドキっとした、二つの意味で。
ココロは非常に強い「魅了術(チャーム)」の使い手であるが、本来魅了術とは異性にしか通じない術のはず。しかしココロのそれは同性にも通じる非常に高度な技であり、ローナは一瞬とはいえココロに魅了されかけたのだ。
そしてもうひとつ、彼女の可愛らしさの裏側に隠れた、何かとんでもない「圧」に圧倒された。結果的に魅了にかからない結果となったが、一体それがなんなのかは今のローナにはわからなかった。
「ローナさん?顔色悪いですよ?」
「あ…ごめんねナタリー、大丈夫だから。」
「もしかしてローナ…今ココロになんか変なことされたりしたの?」
「ううん、平気。とってもかわいい後輩だね。」
なんとか話を反らし、スカイウッドへ歩を進めるべく人狼族への集落へと向かった。
~続く~